文化講座「ロシアの教育」(2001年3月31日開催)

先日行なわれた2001年文化講座『ロシアの教育』のご報告をいたします。突然の雪にもかかわらず、多くの参加者の皆さまのお陰で、熱気に溢れた講座になりました。「マカレンコ」や「大きなかぶ」、ソビエト教育に求心力があった頃へのたんなる郷愁に終わるのではなく、大きな転機を迎えようとしている日本の教育の現状に対する一つの問題提起につながってくれたのではないかと思います。

岩崎正吾先生 「ソビエトの教育実践家マカレンコは日本の教育にどのような影響を与えたか ―文献資料を中心として―」

日本の教育運動が専門ではない岩崎先生にやや強引にマカレンコ理論の日本での受容を、新資料から浮かび上がる彼の生涯やソ連での評価に絡めてお話いただいたのですが、かつて継続的にマカレンコを紹介してきた全生研の機関誌や日本のソビエト教育研究者の文献から、詳細にその教育思想の導入と実践、そして論争点が紹介されました。

日本で翻訳書解説書が多い割に実像は謎に包まれていたマカレンコ。彼の生涯と活動を追うことにより、彼の実践や理論に対する評価には謎が生れます。近似のよう言われるマカレンコの教育における「集団主義」とスターリン時代の「集団主義」は同質なのでしょうか、彼の教育理論が評価されるのは1939年の彼の死後のことです。

田中泰子先生「『大きなかぶ』が愛される理由 - 教科書とロシア民話」

先生の手元に長い間に集まった『大きなかぶ』の絵本の数々、色とりどりの資料に囲まれた楽しい講演会でした。 教科書に載せる際に落してはならない表記の問題、数々の再話者の文章の比較からA.トルストイがその人であること、「蒔く」と『植える」の違い、そして翻訳の中から生れた「うんとこしょどっこいしょ」の掛け声、かぶを引っ張る順番と子供の認識等、なぜ日本人にロシア民話『おおきなかぶ』が愛されるのか、ずいぶんと納得の行く講演会だったのではないでしょうか。

途中15分の休憩をはさみ、講演と質疑応答の熱い4時間でした。

文化講演トップへ戻る