ロシア語一"語"一会109

ロシア語由来の外来語9

ピロシキ

ロシア語ではпирожкиと書かれるが、これはпирожокの複数形である。よって、この複数形のпирожкиで調べても直ぐには分からない。もっとも、ロシア語の初歩的な知識があればすぐに判断できることではある。それから、語形から言えば後者のпирожокはпирогという単語の指小形でもある。

では、пирожокとпирогの間にどのような違いがあるかというと、上に述べたようにпирожокは指小形なので「小さなпирог」という意味があるが、それだけではない。

まずпирогとはどんなものであるかと言うと、大体パイ(pie)を想像してもらえばいい。形は円形のものが多いが、四角いものを作ったり三角形にしたりすることもある。詰め物としては、甘いもので木の実や果物、塩辛いもので魚やキノコ等を使う。

一方пирожокの方は日本の「アンパン」や「カレーパン」に近い。小麦粉で作った生地で詰め物を丸く包み、それを油で揚げるかあるいはオーブンで焼く。詰め物としては肉やキャベツ、卵やキノコ、あるいは米や木の実を使ったりする。街頭で売っていることも多く、大体中華まんのように暖めた状態で売られるし、またその方がおいしく感じられる。

пирогから派生した単語でピロジュノエ(пирожное)という食べ物もある。語形としてはпирогから作られる形容詞пирожныйの中性形であるが、この単語は単独で名詞として使用される。甘いお菓子でケーキ(主にショートケーキを指す)と思ってもらえばいい。

デコレーションケーキにあたるロシア語の単語はтортである。この単語はドイツ語(Torte)を経由して入ってきたラテン語のtortusが元になっており、そのラテン語の意味は「曲がりくねった」「よじれた」である。

ラテン語のtortusはフランス語ではtarteと姿を変え、英語ではtartと表記される。つまり「タルト」がそれである。

補足:

пирогの語源については幾つかの説があるが、пир(「宴会」「祝宴」の意味)という単語に接尾辞-огを付けたという説を採りたい。古い単語を集めた辞書類ではпирогは「白パン」や「味付けパン」という意味で使用されたという解説がなされており、つまりお祝いの席で出されるようになったパンがもとの意味であろう。

小話(анекдот)

今回は政治的な小話を一つ

Премьер-министр диктует министру финансов параметры бюджета на следующий год:

— Деньги распределим так: 100 млрд на исправительные учреждения, 10 млрд на образование.

— Послушайте, премьер, может, всё-таки школам выделим больше денег, чем тюрьмам?

— Знаешь, старик, я тебе так скажу: нам с тобой школа явно не светит.

(首相が財務大臣に次年度の予算規模についての指示を出している。
「予算は次のように振り分けよう。1000億を矯正施設に、100億を教育にだ」
「首相、ですが刑務所より学校向けの予算を多くした方がいいんじゃないですか」
「いいかい、俺たちにとっては学校というやつは好ましいものじゃないんだ」)

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