ロシア語一"語"一会 106回

ロシア語由来の外来語6

ペチカ

「雪の降る夜は楽しいペチカ・・・」北原白秋作詞、山田耕作作曲の有名な童謡である。ロシア語由来のペチカ(печка)は「焼く」という意味の動詞печьを基に作られた単語で、「暖房と調理を兼ねた設備」のことである。現在では農村地域ではまだ見かけられるが、都市部の高層住宅ではほとんどと見ることがない。粘土やレンガ等で作ったものがほとんどで、寒さの厳しいロシアでは必要不可欠であった。古い映画で時々見かけるが、大きなものではこのペチカの上部に寝床を作ったりもしている。

一方、どちらかといえば暖かくて、寒さがそれほど厳しくはない日本では、軽くて燃えやすい木材で作った家の内部にこのような設備を作るのは危険で、それゆえ主に暖を取る器具としてはコタツ(炬燵)やヒバチ(火鉢)が使われてきたし、調理を兼ねた場所としてはカマド(竈)やイロリ(囲炉裏)が用いられてきた。

このように、日本には本来ないものなので、ペチカの日本語訳として「暖炉」あるいは「ストーブ」(英語のstove)という言葉が使われているが、内容としてはカマドとイロリを合体したものと思った方が分かりやすい。つまり、家のほぼ中央部に粘土やレンガで大きなカマドを作り、そこでものを煮炊きし、その余熱で家全体を暖めるという方式をとっているのである。また、燃料としては薪を使うのが普通である。

ペチカという言葉については、上記のようにその設置される場所や形状は大体定まっているが、最初に述べたようにпечьは「焼く」という意味なので、名詞のпечь(動詞と同形)は「焼く、暖める」装置としてより広く使われ、現代風な「オーブン」や「レンジ」また「高炉」や「焼却炉」という日本語訳を与えることもある。

小型で簡単に移動させることができるような器具としてはжаровняというのもある。これは日本の火鉢、こんろ、七輪といったものに相当する。

欧米の家でみかける壁をくりぬいたような形の暖炉はロシア語では通常каминと称されるもので、主に暖を取るためのものである。燃料としては薪の他に現在では石炭、電気、ガス、石油等々色々なものが使われている。

補足:

❶現在のロシア都市部では蒸気を使ったセントラルヒーティングが暖房の主流である。

❷каминはドイツ語からの借用語であるが、ギリシャ語のκαμινοςがラテン語のcaminusとなり、それが広まったものである。意味はロシア語のпечьと同じ。

アネクドート(小話)

В мединституте на экзамене профессор задаёт студентке вопрос:
- А какой орган является символом любви?
- У женщины или у мужчины?
- В мои времена это было сердце!

医科大学の試験で教授が女学生に質問している。
「どんな器官が愛の象徴かな」
「女性ですかそれとも男性ですか」
「私たちの頃は心臓(ハート)だったけどな」

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