日本ロシア語情報図書館

図書館に到着した日本語書籍の情報はブログ「中身のことは聞かないで」で紹介しておりますが、ロシア語書籍についてはなかなかご紹介できずにいました。

そこで図書館をよくご利用なさっている会員の皆様に交代で紹介していただきます。

第1回

書名:  日本のシンボル(“東洋コレクション”シリーズ) 
  Книга японских символов (Серия «Восточная коллекция») 
著者:  A.N.メシェリャコフ А.Н.Мещеряков 
出版社:  モスクワ、ナタリス出版社  М. «НАТАЛИС»  
出版年: 2007
ページ数: 556 с.
日本のシンボル

紹介者:横山文夫

プロフィール
1936年 東京都新宿区生まれ。
1966年 ロシア国立民族友好大学(モスクワ市)理学部卒業。
1968−1971年 日ソ学院(現東京ロシア語学院)非常勤講師。
1998年 学院理事 
2002年 3月 学院理事長代理。
2015年(4月)没

本書には、「日本のシンボル」と「日本の風俗」という独立した二つの著作が収められている。

著者は「日本のシンボル」では、11章に分けて日本を文化面から紹介している。たとえば、第2章では植物を取り上げているが、そこで著者は、それぞれの民族の文化において植物は大変重要な地位を占めているが、とりわけ日本に関しては、その文化は植物文化と定義してもよいであろう。なぜなら日本は畜産国というよりもむしろ農耕国であるから、と書いている。そのため日本人は動物に対してよりも植物に対してはるかに大きな注意を払っており、その文化に幾分か「ベジタリアン」的な色調があるとも書いている。

特徴は、60点近い多数のイラストを挿入し、あわせてこれまでロシア語に翻訳された数多くの短編の古典や川端康成を中心とした現代文芸作品を紹介する形でそれを行っていることである。参考までにそれらの引用されたすべての作品について、日本語の原題とロシア語訳を併記した。

本書の第二部ともいうべき「日本の風俗」では、物の見方、時間や金銭の勘定のしかた、田植え、飲食、入浴、刺青、交通、通信、罪と罰、お裁き、吉原等々の、ごくありふれた庶民の日常生活について、107点のイラストをつけて「日本の歴史的な風俗」を紹介している。ただ、従来から多く取り上げられてきた、禅や切腹、源氏物語等、著者がソビエト的アプローチとしている日本紹介は行っていないのも特徴であろう。なお、本書目次に記載した副題は筆者が付けたものである。
本書は、2004年に出版された著作の再版である。

内容:

日本のシンボル

 

 

序文

11

 

時代別概説

13

第1章

国のシンボル

16

 

天皇

16

 

“日本国”

25

 

日本人

30

 

国家

32

 

国旗

35

 

神武天皇[1]

40

 

さざれ石の宮[2]

42

 

 

 

第2章

植物

45

 

さくら

45

 

50

 

55

 

パーベル・タラーソフ 「花粉」

59

 

田舎児、桜ノ散ヲ見泣事(いなかのちご、桜の散るを見て泣くこと)[3]

65

 

川端 康成「木の上」 [4]

66

 

髑髏の目の穴に笋の擉すを脱ちて祈りて霊しき表を示す縁(ひとがしらの目の穴にたかむなのさすをはなちていのりてあやしきしるしをあらわすことのもと)[5]

69

 

竹取のおきな[6]

71

 

竹取の翁の物語[7]

73

 

 

 

第3章

昆虫

75

 

スズムシ(マツムシ-コオロギ-キリギリス-ウマオイ)

76

 

ホタル

79

 

カイコガ

82

 

虫めづる姫君[8]

86

 

川端 康成「バッタと鈴虫」 [9]

94

 

 

 

第4章

97

 

ヨシキリ

98

 

カッコウ

100

 

タカ

102

 

観音経、化蛇輔人給事(観音経、くちなはにけし人を助けたまふこと)[10]

106

 

川端 康成「隣人」 [11]

108

 

川端 康成「雀の媒酌」[12]

111

 

川端 康成「かけす」[13]

113

 

 

 

第5章

動物

115

 

ネコ

115

 

イヌ

119

 

ウシ

126

 

ウマ

130

 

シカ

135

 

カメ

138

 

鬼ごっこ

141

 

御堂関白の御犬清明等きどくの事[14]

147

 

川端 康成 「黒牡丹」[15]

149

 

子の物を盗み用いて偸用いて牛と作りて役はれ異しき表を示す(子のものをぬすみて牛となりてつかわれあやしきしるしをあらわすことのもと)[16]

154

 

僧湯を涌す分の薪を用て他に与へて牛と作りて役はれ奇しき表を示す(ほうし湯をわかすわけの薪を用いてひとに与へて牛となりてつかわれあやしきしるしをあらわす)[17]

155

 

長谷寺参籠の男利生にあづかる事[18] 

156

 

三宝を帰信ひ衆の僧を欽仰ぎ経を誦ましめて現報を得ることのもと(三宝をよりうやまひもろもろのほうしをうやまい仰ぎ経をよましめて現報を得ることのもと)[19]

161

 

妙見菩薩変化して異しき表を示し盗人を顕すことのもと(めうけんぼさちへんぐぇしてあやしきかたちをあらわしぬすびとをあらわすことのもと) [20]

162

 

浦島太郎[21]

163

 

 

 

第6章

168

 

コイ

168

 

ナマズ

171

 

金魚

177

 

禅師の食はむとする魚法花経と化作りて俗の誹を覆す縁(ぜんじのくはむとするうをほふくぇきやうとなりてただひとのそしりをくつがえすことのもと)[22]

181

 

上出雲寺の別当、父の鯰になりたるを知りながら殺して食うこと [23] 

182

 

猿源治草紙[24]

184

 

川端 康成「屋上の金魚」 [25]

198

 

 

 

第7章

200

 

200

 

206

 

211

 

扇子

218

 

鏡宮事 [26]

223

 

川端 康成「化粧」[27]

227

 

川端 康成「盲目と少女」 [28]

229

 

遠藤周作「鏡」 [29]

232

 

自賀茂社御幣紙米等給事(かものやしろよりごへいがみこめなどたまふこと)[30] 

237

 

川端 康成「時雨の駅」 [31]

238

 

川端 康成「雨傘」 [32]

244

 

 

 

第8章

休息

246

 

 茶

246

 

たばこ

252

 

賭け事

257

 

達磨見天竺僧行事(だるまてんじくのそうのこなひをみること)[33]

262

 

清水寺に二千度参詣する者、双六に打ち入る事(きよみずでらににせんどさんけいするもの、すぐろくにうちいるること)[34] 

263

 

貝合わせ [35]

264

 

川端 康成「冬近し」 [36]

269

 

 

 

第9章

人々

272

 

私はどのようにして日本研究家になったのか、そしてずっとそのままでいたのか?

272

 

全国の人道主義者よ、団結せよ!

277

 

ネコの喜び‐ロシア語を理解するネコ

279

 

2000年のフットボール

281

 

日本のよくないところ

284

 

旅は道連れ

286

 

 

 

第10章

空間への愛‐ロシア語の詩を通じて表現した日本への敬愛

289

 

 

 

第11章

解釈

302

 

広く枝を張った桜あるいは停滞時の日本‐ブレジュネフの停滞の時代のこと

302

 

神話的愛とその影響‐「日本書紀」と「古事記」をめぐって

311

 

古代の情報世界の広がり

317

 

言うべきか言わざるべきか‐通訳の話

320

 

日本考古学の社会的課題

325

 

文学と歴史

333

 

宇治拾遺物語 [37] 

337

 

蔵人得業、猿沢池竜事(くらうどとくごふ、さるさわのいけのりょうのこと) [38] 

338

 

芥川龍之介 「竜」 [39]

339

 

 

 

日本の風俗

 

 

はじめに

349

 

視力 ‐黒い目の日本人

351

 

時間 ‐日本人のきちょうめんさ

367

 

米 

381

 

食事 

394

 

アルコール 

419

 

旅 

432

 

銭湯

452

 

化粧

465

 

刺青

477

 

愛 

490

 

風俗店 

503

 

カネ 

520

 

罪と罰 

536

 

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注:
1.  Государь Дзимму (「日本書紀」)より
:翻訳 エルマコワ L.M.
2.  Приценсса Садзарэиси (「御伽草子」より)
:翻訳 トロプイギナM.V.
3.  Про то, как при виде опадающей сакуры заплакал деревенский мальчик (宇治拾遺物語、巻1-13)
:翻訳 スヴィリドワ G.G.
4. 

На дереве(掌の小説 より)

ちなみに、日本語原書では、冒頭に「敬助の家は、大川が海にはいらうとする、その岸辺にあった」とあるが、この訳者は、
”Дом Кэйсукэ стоял возле впадающей в море широкой реки ” 
としている。何気なく読んでしまえばその通りだが、ここで大川というのは、たんに大きな川のことではなく、隅田川のことではないだろうか。
(台東区編纂 道路・橋梁考によれば、“隅田川は正式にいうと荒川である。浅草川について「荒川の一名なり。又大川とも、宮戸川とも、墨田川とも称す。」”とある。)
したがって、筆者はこの説を借りて、ここは「Окава」という固有名詞にすべきであろうと思う。

5.  Слова о вырывании ростка бамбука из глазницы черепа и о чуде, сотворенном молитвой 日本霊異記、第二十七
6.  Дед Такэтори
翻訳:ホロドービッチ A.A.
7.  Повесть о старике Такэтори
翻訳: マールコワ V.N.

8. 

Любительница гусениц 堤中納言物語より
9.  Цикада и сверчок
10.  Про то, как Каннон змеей обернулась (宇治拾遺物語 巻六の五)
翻訳: スヴィリドワ G.G.
11.  Соседи
12.  Воробьиное сватовство
13.  Сорока
14.  Про собаку канцлера и гадателя Сэймэя (宇治拾遺物語183)
: 翻訳:スヴィリドワ G.G. 
15.  Черный пион
16.  Слово о том, как отец присвоил зерно сына, и переродился быком (日本霊異記 縁 第十)
17.  Слово о том, как монах присвоил дрова, предназначенные для кипячения воды, и переродился быком (日本霊異記 縁 第二十)
18.  Про то, как мужчина, храм Хасэдэра посещавший, чудесной милости удостоился (宇治拾遺物語 巻第七)
翻訳:スヴィリドワ G.G.
19.  Слово о воздаянии в этой жизни за веру в ТриСокровища, почитание монахов и чтение сутр (日本霊異記 縁 第三十二)
20.  Слово о том, как Бодхисаттва Мёкэн чудесным образом обернулся оленем и указал на вора (日本霊異記縁 第五)
21.  Урасима Таро (御伽草子より) 
翻訳:トロプイギナM.V.
22.  Слово о рыбах, которыми хотел полакомиться монах и которые обернулась «Сутрой лотоса», дабы защитить его от мирян) (日本霊異記縁 第六)
23.  Про то, как настоятель храма Идзумо убил отца, хотя и знал, что он превратился в сома (宇治拾遺物語 巻十三の八)
翻訳: スヴィリドワ G.G.
24.  Гэндзи-обезьяна (御伽草子より) 
翻訳:トロプイギナM.V.
25.  Рыбки на крыше
26.  Об основании Зеркального храма
(神道集巻第八の四十五)
27.  Зеркальце
28.  Слепец и девочка
29.  Зеркало
翻訳: トロプイギナM.V.
30.  Про то, кА монах получил из храма Камо бумагу и рис
宇治拾遺物語上 巻 六の六」 
翻訳: スヴィリドワ G.G.
31.  Дождь на станции
32.  Зонтик
33.  Про то, как Дарума за монахами в Индии наблюдал 
(宇治拾遺物語 巻十二の一)
翻訳: スヴィリドワ G.G.
34.  Про то, как две тысячи поклонений в храме Киёмидзу были проиграны в сугороку
(宇治拾遺物語 巻六の四) 
翻訳:スヴィリドワ G.G.
35.  Игра в раковины
(堤中納言物語より)
36.  Приближение зимы
37.  Рассказы, собранные в Удзи について 
翻訳:スヴィリドワ G.G.
38.  Про монах Эин
(宇治拾遺物語 巻十一の六)
翻訳:スヴィリドワ G.G.
39.  Дракон

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